チョコかと思ったのに・・・!

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チョコかと思ったのに・・・!

「はいはーい、今年も来ました。千代子印のチョコレートだよー!」 教室に元気な声が響き渡る。男子生徒を中心に歓声が起こった。 今日は2月14日。世の中の男性が期待に胸ふくらませる日。毎年、千代子はたくさんの10円チョコを持ちこみ、生徒に分け隔てなく配っている。 千代子の噂は学校中に広まり、いつしか学校中の人が千代子のチョコをもらいに集まるようになっていた。普通であれば八方美人と思われてしまうが、容姿が至って平凡だったこと、そして千代子の明るさと裏表のない性格がそうはさせなかった。 「お返しは10倍返しねー!」 千代子の渡すときの決まり文句。しかし本気で貰うつもりはないようだ。過去にお返しを持ってきた男子生徒がいたが、 「そういうのは本命の女の子にあげなきゃ!」 と決して受け取らなかった。 「いっぱいあるから、順番にねー!」 千代子はこの学校のマスコットキャラなのだ。 「あの…。」 「あ、はいはーい、今チョコ取るから待ってて…」 ちゅっ 生徒たちから、どよめきと歓声があがる。その中心には一人の男子生徒と、顔を真っ赤にしてポカンとした千代子が立っていた。 以前、千代子にお返しを持ってきた男子生徒だった。
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