お毒見

１

B「待った、待った、待った。それ食べちゃダメ！」

A「え？　どうして？　」

B「さっきそれを売ってる店に保健所が入ったんだ。あそこの商品を食べて食中毒になった人が何人も出たらしい」

A「えっ？　そうなの？　あそこのお店人気でいっつもすぐに売り切れちゃうのに」

B「人気だからこそだろ。感染拡大したらまずいし」

A「でも、私、ここのパンずっと食べたくてようやく買えたのに・・・・・・」

B「わかった。お前がそこまで言うなら俺が毒見をしてやるよ」

A「え？　ダメだよ。もし、当たっちゃったら、キミが食中毒になっちゃうじゃん」

B「でも、今食べなかったらもう二度と食べられなくなるかもしれないぞ？　」

A「でも・・・・・・」

B「大丈夫。異変があったら毒見をやめて、すぐに病院行くから」

A「わかった。じゃあ、毒見お願いするね」

B「おう。任せておけ」

A「気を付けてね。はい、これ」

B「これは毒見し甲斐がありそうだな。いただきます」

A「どう？　大丈夫？　」

B「まだ三分の一も食べてないからな。まだわからん」

A「どう？　大丈夫？　」

B「まだまだ。まだ半分しか食べてないからな」

A「どう？　もう残り少ししかないけど・・・・・・」

B「もう少し。もう少しで・・・・・・」

A「あーー、全部食べちゃダメだよーー」

B「・・・・・・」

A「もう。食中毒なんて嘘だったんでしょ？　食べたいんだったら初めから言ってよ。半分こしてあげたのに」

B「・・・・・・」

A「え？　ちょっと顔色悪いよ？　大丈夫？　ほら、これ飲んで」

B「これはどこで買ったカフェオレ？　」

A「これ？　これは大通りにできた新しいコーヒーショップで買ったカフェオレだけど」

B「あーー、やばい、あそこの店もやばいぞ。あそこも衛生管理がなってないっていう噂があるんだ。このカフェオレも毒見してやろう」

A「・・・・・・じゃあ、お願いします」

B「え？　いいの？　」

A「だって。間接キスになっちゃうじゃん」

B「え？　あ？　うん・・・・・・」

A「・・・・・・」

B「ははは、そうだよな。間接キスは嫌だよな」

A「ううん。違うの」

B「え？　」

A「するなら。間接じゃなくて、直接がいい」