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そうだ。まず俺は君を愛しているのはもう分かる?いや、分かっているはずだ。
あのノート、君は読んだね?
あれは君が勝手に読んだんじゃあない。俺が読ませたんだ。わざとあそこに置いておいた。
読むだろうなって思ってたから。
君ってそういう所あるね。好奇心優先で常識とか無視で突っ走る所。好きだけど。
読むのに躊躇なんてしなかったのだろう?以前から人の机やパソコンも覗いたりなんて日常茶飯事だね。パスワード勝手に変えていた事もあったっけ。あれはかなり困ったよ。
あ、内容は全部本物で本心。ずっと書き殴って我慢していたんだ。
今だから言うけど、最初に出会った時から俺はこうしたかった。出会いは最悪で助手にしてくれと押し掛けてから、親友の座におさまるまで長かったなあ。ノートに書かないとやってられなかった。
それを見せることで君がどんな反応をするのか様子見ようと思ってたんだけど。
まず君は俺に女をあてがおうとしたよね。
あれは、正直絶望したよ。同時に決意させた。絶対に手に入れるってね。
………そんな怯えた顔をしないで。痛い思いはまださせるつもりはないよ。まずは話を聞いてくれないか。
大体君が連れてくる女達は俺のタイプじゃあないよ。もしかして君のタイプってああいうのなのかな?だとした改めた方がいい。まあ、もう君に女は抱けないね。可哀想だけど。
それでもまだ俺は焦っていなかった。まだまだ時間があるからって。少しずつ距離を縮めていこうと。こんなに強引な手に出るつもりはなかったんだ。
………君が死んだから。
俺がどんな思いで君の訃報を聞いたか分かる?三年間どんな感情で生きてきたか。
半身を力づくでもぎ取られたような痛みなんだよ!そう痛かった!!この身はひとつも傷ついていないのに!
痛みだけが全身に広がって三年間………君に分かるかい?きっと、誰にも分からないだろうねえ。
なぜ一緒に連れて行ってくれなかったのかと心底君を憎んだものさ。でも憎んでも憎んでも、愛しているんだ。最低な失恋だ。
いっそうのこと死のうとも思ったよ。でも人間って死ぬのは難しいってことを学んだだけ。
胸にぽっかり穴が空いたような、という表現があるがそんな所ではないよ。引き裂かれた半身をぶらぶらと引きずって歩くような気分だった。
酷い気分さ。君には分からないだろうなあ!恋をする男を弄ぶ君にはね!
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