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必死に身体を捩っても、拘束された四肢はなんの役にも立たない。
「妹さんは、残念だったね」
眉を下げながら言うが、その口元は舌なめずりをしている。
僕は下半身の口に出すのもはばかられる所の違和感に唇を噛んだ。
「まずは一本。さっき慣らしたから、すんなり入る」
「くっ、うう………やめろっ」
必死で力を入れるが、それによって異物感をより感じてしまう。
「ほら二本目」
「ひぃ、や、やだ、ううう………」
「大丈夫そうだ」
「うぐっ、うっ、あああっ」
こともあろうに動かし始めた。探るように抉ってくるその感覚に声を押し殺す事もままならない。
「やっぱり起きてる時の方が反応いいね………あのさ、君のことだからもう感づいてるいるかもしれないけど、僕は妻を殺したよ」
彼の妻は僕の妹だ。妹は延期していた新婚旅行に行って行方不明になっている。
死体が出ていないから行方不明。彼女は崖から転落した。助かる見込はないだろう、と誰もが言った。
「妻には、君の妹さんには感謝しているんだ。彼女の事だってちゃんと愛してたよ」
うっそりと笑う。彼は笑っている。
「でもね。もう要らなかったんだ。だって君が帰ってきてくれたからね!」
細められた目、形の良い唇から覗いた白い歯。
「鈍くてごめん。よく言われたよね。『君は良い男だけど鈍い男だな』って。あはははははっ!」
「ち、違う!いっ、うっ、ああ、あ、あ」
「ここがいいのかな、よし三本目」
「ひぎぃっ、い、い、ああ、や、だ、ああああっ」
だめだ。何も考えられなくなる。異物感と痛みがなにかにすり変わる。助けて。やめて。
僕の反応が変わったことに気付いたのか、何度もそこに触れて探ってくる。逃げを打とうにも寝返りを打つこともできない。
「嗚呼、そんなに動いたら傷付いてしまうじゃあないか」
窘め宥めるように手首に彼が触れる。
「だ、だったら、はず、して………」
「だめだよ。逃げるから」
「そんな………ひぃ、ぐ、ああああっっ!」
「やっぱりそこがいいんだね。素質あるよ、多分」
嬉しそうな声が怖い。感じたことのない感覚が怖い。快楽と言うには暴力的なそれは僕を怯えさせるには充分だった。
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