思い出のパン

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A 「あのさ、もし30歳までに結婚出来んかったらお嫁にしてくれる?」 B 「唐突だねぇ、お前さん。」 待ち合わせをして、いつもの朝を迎えた。 A 「私、あんたの事好きやねん。」 B 「バーロー。親父さんに怒られるわ。」 A 「また話そらした。どうする?卒業したら。」 B 「東京に行く。」 A 「なんも変わらないと思うよ。」 B 「変わらなくていいさ。」 私達は、卒業したらバラバラになるのだ。 母は、父と離婚して東京に行く。 まだ彼には、伝えてない。 私が東京から大阪に来たように、彼は、東京に行き 自分の道を行くのだ。諸事情を話した所で同情を買うだけだ。 彼の母と私の父は、同級生。 腐れ縁らしい。母は、焼きもちやきで激しいのだ。 父は、淡々と話す。 母は、気性が激しいのだが些細なことではぶれない。強い人なのだ。 彼とよく食べた思い出のパンを彼の母が覚えてくれて手渡してくれた。 B 「はい、これ。母ちゃんから」 A 「ありがとう。」 私は、思い出のパンを頬張る。 A 「 いつもこれどこで買ってるの?」 B 「結婚したら、わかるよ。」 A 「30歳になったらな」 B 「口わりぃな。」 私は、鞄を思いっきりあてた。 私は、東京に行く。そしてあなたに会いに行こう。
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