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夕暮れ時、一本の電話が鳴りました。
電話に出ると、相手は中年の男性のような声でした。
携帯を外からかけているのか、電波がとても悪くて何を言っているのか聞き取れませんでした。
そのうちに電話が切れてしまって、一本目で得られた情報は相手が男性ということぐらいでした。
少ししてまた電話がかかってきました。
一本目よりは言葉の端々が聞こえて来ましたが、やはり電波が悪くて雑音が多くて、途中で切れてしまいました。
けれど、それが何度も続いていくうち、途切れ途切れの言葉を繋げていくと、ようやくクリスマスケーキの予約だということがわかりました。
しかし、その日はそれ以上の電話は来ず、予約を起こすことはできませんでした。
翌日も、何件かのクリスマスケーキの予約電話は来ましたが、あの男性からの電話はありませんでした。
きっと別のケーキ屋で予約したのだろうと私は思ったのですが、書きかけの予約伝票は捨てずにいました。
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