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ある年の12月の半ばのこと。
見習いとして働き始めたカンナは、綱島さんからの電話でクリスマスケーキの予約を受けました。
チョコレートケーキを予約する人が少なくて、カンナはよく覚えていたそうです。
引き渡しは、12月24日の午後6時。
当日、予約を受けていたケーキが、午後から夕方にかけて一気に引き取られていきました。
そして、午後6時になる頃には、残りあと2個となりました。
少しして、そのうちの1個を若い男性が引き取りにきました。
残ったのは、綱島さんのチョコレートケーキだけ。
けれど、いつまで経っても綱島さんは引き取りに来ず、店長は綱島さんの携帯に電話をかけました。
しかし、電話は繋がりませんでした。
結局、綱島さんは店に来ないまま、その日は営業を終えました。
その翌日、店に一本の電話が入りました。
それは綱島さんの奥さんからで、旦那が会社の帰宅中に亡くなったということでした。
奥さんは忙しい中で、クリスマスケーキのキャンセルと、後日キャンセル料をお支払いしますと言っていましたが、店長の計らいでキャンセル料はなくなりました。
お悔やみを告げると、奥さんはお礼を言いながら泣いていたそうです。
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