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「未央ちゃん、分かったよ」
「分かってくれたの?」
「違うよ、俺一人で見てくるから、未央ちゃんは髪の毛でも乾かしたら」
平気だよなんて顔をしているけど太郎は全然分かっていないよ。本当に本当に恐ろしいのだから。
「ダメ、ダメだよ。危ない目に遭うかもしれないから行かない方がいいよ、ね、やめときなよ」
わたしが止めるのも聞かずに太郎は踵をかえして、再び長い長い廊下を大浴場の方向へと向い歩き出したのだ。
「ちょっと~太郎君!」
わたしが呼んでも太郎はこちらを振り返らずに、バスタオルをぶんぶん振り回しながらどんどん歩いて行ってしまった。
太郎が行ってしまった後わたしは、薄暗い廊下に一人取り残されてしまった。
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