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「お風呂はなんともなかったよ。未央ちゃんの勘違いじゃないの?」
「そんなことないもん。絶対に赤黒いお湯に変色して血みたいにわたしの方へとドロリドロリと流れてきたんだよ」
「じゃあ、自分の目で確かめたらいいよ。俺は湯船を覗き込んで何もなくて、それで戻ろうと思ったらこの石鹸があって、すってんころりんと転んだんだから」
太郎は、そう言って恨めしそうに石鹸を指差しながら、ぶうぶう文句を言っている。
太郎が嘘をついている様子はないけれど、じゃあ、わたしが見たものは一体なんだったのだろうか?
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