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「バレンタインデーなんて消えればいい!!」
通学路の真ん中で、親友の長田(オサダ)が叫んだ。
「毎年毎年、期待するだけ無駄なのに、期待せずにはいられない。
この気持ちはなんだろう!!今年もどうせダメなのに!!」
そう言って本当に悔しそうな顔をするもんだから、
つい笑うと睨まれた。
2月14日という平日は
毎年毎年男子の心をむざむざと切り裂いていく。
それなのに、今年はもしかしたら、なんて
期待してしまうのが男心である。
「ほんと、男子ってバカだよねえ。」
絶叫する長田の後ろからやって来たのは
僕の幼馴染の榛名 和泉(ハルナイズミ)だ。
「そんなにチョコってほしいものなの?
好きな子からじゃなくても?」
呆れた、という顔で僕らを見つめる和泉。
「そりゃあ、そうだろ!女子には分からねえんだ!」
長田がこれまた悔しそうに叫ぶ。
「うるさ。そんなんだからモテないんだよ長田は。
…あ、颯太(ソウタ)。これあげる。」
そういって和泉は僕に箱を渡してくる。
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