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学校に着くなり、
靴箱チェック、
ロッカーチェック、
机の中チェックが始まるわけだが
99パーセントの男子の元にはチョコレートは無い。
しかし無いことに落ち込む素振りを見せず、格好つけて歩くのが男だ。
実に寂しい。
「今日だけ格好つけても無駄だから~!」
と言われ、うるせえ!!と叫ぶ長田。
どうせ一個ももらえないんでしょ、ともらったチョコレートは
気が利く女子がクラス全員のために作ってきたものだ。
これがもらえるだけで僕ら男子は果てしなくテンションがあがるものだが、
男子の中でステータスとなる「チョコの数」にはノーカウントだ。
友チョコ交換をする女子たちを片目に、
そわそわとする男子たちの時間はみるみるうちに過ぎていく。
そして、いつものようにキーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴り、
今日も一日が終わっていく。
圧倒的チョコレート数を誇るのは数学教師の前田だろう。
終礼と共に、女子たちが「前田先生のとこ行こお」と言って出ていった。
いつもより早く部活に向かうあいつらは、
きっと今から二度目のロッカーチェックだ。
帰り支度が終わっているのにだらだらと居座るあいつは、
誰かからの呼び出しを待っている。
そそくさと帰っていくあいつは、
この後彼女とデートの約束でもあるのだろう。
バレンタインデーほど男子たちの心を弄ぶイベントはない。絶対に。
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