高校一年のバレンタイン

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 親切のつもりだったけど・・・  「必要ない!松山君。早く買い物に行きなさい!  遅くなったら危ない。  最近、暴力事件があったし・・・」  小学校の先生みたいなこと言われ、僕、駅前に向かった。  買い物終わって帰って来たら、遠野さんの家の窓は真っ暗なまま。  自転車置き場に紙包みはなかった。  (カレ氏のとこ、まにあっただろうか?)  自分の家に向かう。遠野さんの家の前通ったときだった。なにかにぶつかったみたいな音。耳の奥まで響いてきた。  その後だった。  「イタタ・・・」  聞き覚えのある悲しそうな声。  遠野さんではないって信じたい。カレ氏のところだし・・・  でもいまの声って・・・  確かに女の人の悲鳴・・・  チャイム鳴らした。  返事はない。  なんだか気になったんで、何回か押した。  悲しそうな声は二度と聞こえなかった。  家に帰って入浴して、ゆっくりガトーショコラいただいた。  翌朝。  いつもの通り、遠野さんと一緒。途中まで歩いた。  「ガトーショコラ、とってもおいしかったです。ごちそうさまでした」  「いいえ。それよりも・・・」  遠野さんったら、ものすごく深刻な顏、僕に向けた。人生の一大事みたい。       
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