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バレンタインに残業させちゃいけないとは、労働基準法でも決まってないし・・・」
またご自分の個人情報、詳しく聞かせてださった。
難しい名前の法律まで・・・
「ありがとうございます」
「自信作はカレ氏用だからごめんなさい。じゃあ」
交差点。遠野さんが手を振って右へ曲がったとき。
空気を切る音。強い風。一瞬!
遠野さんのトートバッグが吹っ飛ぶ。
僕のそばに落ちて・・・
赤い包装紙の箱や紙袋が投げ出された。
あわてて箱を拾う・・・・・・・・・
アレ?チョコだって思ったのに・・・
フォンダンショコラってこんなに軽いんだろうか?
カラッポじゃないんだろうか?
入れ忘れ?
紙袋に手を伸ばす。
チョコだって思ったのに・・・
袋の口からマンガ雑誌・・・
『アンソロジー アラフォーの経験したステキすぎるロマンス・・・エブリスタ投稿者が書いた実話です。賞金目当てのフィクションではありません』
『アンソロジー イケメンの年下の上司に迫られたってストーリー・・・エブリスタ投稿者が書いた実話です。賞金目当てのフィクションではありません』
これって一体・・・
遠野さんが僕の手から箱と紙袋、ひったくった。
顏、真っ赤!
僕のこと、にらみつけてきた。
「君ってほんとにひどい子どもだね」
あぜん!
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