高校二年のバレンタイン

2/8
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
 バレンタインに残業させちゃいけないとは、労働基準法でも決まってないし・・・」  またご自分の個人情報、詳しく聞かせてださった。  難しい名前の法律まで・・・    「ありがとうございます」  「自信作はカレ氏用だからごめんなさい。じゃあ」  交差点。遠野さんが手を振って右へ曲がったとき。  空気を切る音。強い風。一瞬!  遠野さんのトートバッグが吹っ飛ぶ。   僕のそばに落ちて・・・  赤い包装紙の箱や紙袋が投げ出された。  あわてて箱を拾う・・・・・・・・・  アレ?チョコだって思ったのに・・・  フォンダンショコラってこんなに軽いんだろうか?  カラッポじゃないんだろうか?  入れ忘れ?  紙袋に手を伸ばす。  チョコだって思ったのに・・・  袋の口からマンガ雑誌・・・  『アンソロジー アラフォーの経験したステキすぎるロマンス・・・エブリスタ投稿者が書いた実話です。賞金目当てのフィクションではありません』  『アンソロジー イケメンの年下の上司に迫られたってストーリー・・・エブリスタ投稿者が書いた実話です。賞金目当てのフィクションではありません』  これって一体・・・  遠野さんが僕の手から箱と紙袋、ひったくった。  顏、真っ赤!  僕のこと、にらみつけてきた。  「君ってほんとにひどい子どもだね」  あぜん!     
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!