高校一年のバレンタイン

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高校一年のバレンタイン

 きっかけは上司に渡すはずだったバレンタインのチョコ。  僕は学校。遠野さんは会社。朝、途中まで一緒に歩くようになった。  最初の信号交差点までだから、五分にもならないんだけど・・・  僕が家を出る頃、チャイムが鳴る。  最初のうち、  「行く?わたしも出るから一緒に行かない」 ってさりげなく語りかけてきた。  そのうちに、チャイムが鳴ったら僕が家を出るのが習慣になった。  歩きながらいろいろ話した。  昨日見たテレビのこととか、学校のこと、会社のこと。お互い、二言くらい話したら、すぐ信号。  「じゃあね」    僕は信号を渡って、遠野さんは右に曲がる。  僕、ひとりで学校に向う。  当たり前の日常。    一度、遠野さんったら変なこと言った。  「わたしたち、どう見えるだろうか?親子ということはないと思う」  こういう場合、なんって答えたらよろしいんでしょうか?  「やっぱり姉弟だろうか」  僕、答えられない。  たぶん・・・いえ、どう見たって・・・姉弟と思うのってムリじゃないかって思うし・・・  「どう思う?」  わざわざ僕に話、ふるんだもん。  「よく分からないですけど・・・母が僕を産んだのって二十一でした」 って答えておいた。     
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