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いきなり近くの研修生に飛びかかり押し倒すと腕に噛み付いた。
その瞬間彼の体は硬直して動かなくなる。
それと同時に近くの研修生が同じように噛まれる。
研修生しかいないことに気がつくとそれぞれが武器を持って走り逃げ惑う。
匠はまだ音のない世界に居た。
握りしめた木刀が温かい。
ゆっくりと息を吸って吐く。
その呼吸音が聞こえる。
目の前で起きているその惨劇を傍観者のように眺める。
匠の後ろの居た牧本が研修用の弓を構えてその動物目掛けて放つ。
首元に当たると動物は少し怯む。
その瞬間、黒に紅いラインの入ったジャージ姿の少年が紅い刀でその動物の頭蓋骨を叩き割る。
一匹はその場に倒れ込み動かなくなった。
気づけば残り2匹の動物が駆け回り噛み殺した研修生は50~60人。
半分の生徒が倒れていた。
匠の目の前に居た女子の研修生が噛みつかれ倒れこむ。
動かなくなった。
その瞬間、匠はその動物へ持っていた黒い木刀を振り切る。
その一振りで動物の右側の耳のすぐ下を捉えた。
動物は倒れこむ。
静かだ。
殆どの音が聞こえない。
匠はそう感じていた。
でも、心地よい。
気づくともう一頭の動物に駆け寄っていた。
残り30人
立っている者、疲れ果てて座り込む者、耳を塞ぎ壁際に逃げ込む者。
その黒い動物は、匠の方向を見る。
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