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「舞潟くん!!!」
匠の耳にその声が入った瞬間に、匠の体は恐怖で動かなくなった。
「なんで?なんでここにいるの?」
叶の放った弓が匠の耳の横を擦り、動物の横腹に当たる。
沙苗が盾を持って舞潟の前に立つ。
手が震えている。
「舞潟くん、後ろに居てね」
「わ、わかった」
回し蹴りを動物に当てる少年がいる。
美しいその身のこなしに周囲は圧倒された。
「素手?」
動物の脇腹に膝蹴りを入れるとほぼ同時に肘を首に目掛けて振り下ろす。
黒いその身体がその場に倒れ込んだ。
立ったまま残ったのはたった15人。
大きなサイレンがなり、135人が目を覚まして起き上がる。
この動物が訓練用サイボーグだと通達され全員が状況を改めて理解する。
「…つまり!倒れた者達は神経に作用する麻痺・睡眠状態を起こす物質がサイボーグより投与された状態にある。
勿論、科学的にも人体に害はないものを使用している。
今後の訓練では、今回のような物質は使用せず、回数をこなす実践訓練となる。
今回の場合、彼らは一時的に睡眠状態に陥っているだけで、命に別状はない!
以上で初日の実践訓練を終了とする。
食堂にて夕食を取ること。
部屋に戻り、明日に備えること!」
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