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「たぶん……。一つの正しい答えなんてのはなくて……、この病気のことをよく知って、お姉ちゃんの気持ちをわかってあげられたら、今、何をやるべきなのかが出てくるんじゃないのかな……」
一瞬の沈黙。
でもこの時に、みんながちゃんと考え出してくれたような気がした。
「そうかもしれないねぇ。とにかく、私はかわいそうなことを言っちゃってたんだねぇ」
「ううん、そう思っちゃうお姉ちゃんの性格も原因の一つだから、おばあちゃんが悪いわけじゃないんだ」
「大ちゃんは優しいいい子だねぇ」
「そんなことない。偉そうな事を言ったけど、僕も全然ダメだったんだ。僕は原因探しばかりをやっていて。それで解決したと思い込んでいて。大切なのは病気になった原因を考えるんじゃなく、今これからどうすべきなのかを考える事だったんだ。でもさ、こんなこと勉強しないとわかんないでしょ。だから……」
僕はこの時、突然、ひかり姉ちゃんの事を思い出してしまった。
もっと早くこの病気の事を知っていれば、ひかり姉ちゃんの事を少しは分かってあげられたのに、ひかり姉ちゃんを死なせずにすんだのに。
言葉に詰まり、また涙が出てきた。
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