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「あ、先輩! 昼前に買い食いすか? この芸能学園の手足長ほっそーの美男美女の中でよく食べられますね。太っていいんすか?」
「あら後輩くん。これはホットドック型のメモ帳よ。100均で売ってるものよ」
「え、メモ帳っすか」
「うん、よくできてるでしょ」
「どう見ても食べ物じゃないっすか! へえ、100円。見えないなあ」
――次の日。
「あ、先輩! またメモ帳持ってる! ……あの、考えたんすけど、それ本当にメモ帳すか? よくできすぎてるっていうか」
「これ? やだなーメモ帳は家に置いてきたよ」
「そっか、じゃあやっぱりホットドック――」
「バインダーよ」
「……ばいんだー?」
「ええ、蝋細工でできたバインダー。河童橋で買ったのよ」
「ほ、ほー蝋細工すか。すげえ、本物みたいだ」
「でしょ? じわじわ口コミで広がってる人気グッズでね。外国人のお土産にも最適よ」
「ほーん、すげえなあ。さすがジャパニーズテック……ふーん……」
「なに? その意味深な『ふーん』」
「いーえー」
――また次の日。
「あ、先輩! それ本当にバインダーすか? 俺、やっぱりおかしいと思」
「これは蝶々よ」
「え、ちょ、ちょうちょ? 蝶々すか?」
「ええ、見えないでしょ。ウインナーに酷似した体が、わっ……ちょっと何。やめて、返して!」
「先輩。いくら”挟む”縛りのネタが切れたからって蝶々はないですよ。いい加減これがホットドックだって確かめさせてもらいやすね。いただきまーす」
「ダメ、食べちゃダメ!」
「あーむ、ぐっ。あ、が、固い! なにこれ、ホットドッグじゃない! 蝋細工……じゃないな。この感触は」
「――ひっかかったわね」
「せ、先輩?」
「そろそろ強硬手段にでると思った。案の定ね。紙粘土細工のフェイクを作って良かったわ」
「フェイク!? ……なんて暇じ……いや違うバ……じゃない凄い人だ。降参します。教えてください。それ本当はなんなんですか」
「この謎パンの正体はね」
「はい」
「CMを挟んだあとで!」
「いい加減にしろ」
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