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遼さんのお母さんから呼び出され、私は病院に向かった。彼の眠る部屋につくと、彼のお母さんは私に1枚の手紙を手渡してくれた。
「遼が亡くなる直前まで書いていたものです。昨日見つかって。それが日菜さん宛ということだったので」
「ありがとうございます」
私は恐る恐るその手紙の封を開けた。
『日菜さんへ
最期まで僕のことを好きでいてくれてありがとう。多分僕は、もう死んじゃう。だから、日菜さんに言いたいことを全部この手紙に託します…って言っても、そんなにないんだけど。
一つ目。僕のことを好きでいてくれて、僕の好きって気持ちを受け止めてくれて、本当にありがとう。死んでも僕は君のこと忘れないから、日菜さんも忘れないでいてほしいな。
二つ目。お誕生日おめでとう。この手紙がいつ君の元に届くかわからないけれど、とにかく。2月4日、それが君が生まれてきてくれた日なんだって、僕は忘れてなかったよ。生まれてきてくれて、僕に出会ってくれてありが』
手紙の最後は文字が読み取れないほど崩れていた。言葉は途切れていた。
「忘れる訳ないじゃん………」
私は頬を伝う雫で手紙を濡らさないことで精一杯だった。
私はその手紙をクリアファイルにしまって、彼のお母さんにお礼を言って病院を出た。グループチャットにその事を知らせるのも忘れなかった。
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