チョコの代わりに祝福を

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チョコの代わりに祝福を

私には、恋人がいる。その人は遠いところに住んでいる。私たちはネット上で知り合ったのだ。 最近、彼はグループチャットに顔を出さなくなった。原因は病気。私は彼の病気を何度も調べた。しかし、その説明は何度見ても理解出来なかった。 彼は入退院を繰り返していて、今は入院している。前回入院したときは手術もしたらしい。 『遼さん生きてる?』 グループチャットにメッセージが送られてきた。 『どうだろうね』 私は返した。遼さん……彼の名前だ。 『いやいや、日菜さんも心配しようよ?!』 日菜は私の名前だ。 グループチャットが盛り上がってきたその時、遼からメッセージが届いた。 『遼の母です。遼は今、亡くなりました』 そのたった1行を理解するのに、1分は要した。あまりにも急すぎたし、みんなで話していた「生きてる?」なんていう話題はほんの冗談のつもりだった。かと言って、遼さんはそんな嘘をつく人でもない。本当に遼さんのお母さんだろう。だとしたら、「本当ですか?」なんて失礼にあたるかもしれない。 『うそだろ………』 誰かの呟きに画面が反応する。 『急すぎるって………』 『なんで遼さんが……』 鳴り止まないスマホを机の上に放り投げて、私はベッドに潜り込んだ。 2月4日、木曜日。私の誕生日のことだった。
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