手汗

1/2
前へ
/5ページ
次へ

手汗

「え?また箱? なんだよこれ。 さすがにこのやり方は懲りすぎだろ」 焦らされるのは嫌いじゃないが、焦らされ過ぎるのはあまり喜べなかった。 「で、またダイヤル式の鍵だが、今度は何番だ? えーと、何か書いた紙は?」 箱を調べると、箱の後ろに紙が張ってあった。 そして、紙には『今日は何日?』と書かれていた。 「なんだよ、さっきの問題より簡単じゃん。 えーと、0214っと」 すると、カチッと鍵が開いた。 「おし、頼むからもう、箱は勘弁してくれよっと!」 しかし、期待とは裏腹、また鍵のついた箱が中から出てきた。 流石にイラつき箱を蹴るが、ただ足が痛くなっただけで、イラつきはマックスだった。 「もう知らん! こんな箱は捨ててやる!」 箱を持ち上げ玄関の外へ出そうとすると、箱の中から携帯が鳴る音がした。 「何なんだよ!」 捨てようとする思いとは裏腹に、鳴り響く音が俺の気持ちを引き留める。 「ちくしょー、分かったよ。 開ければいいんだろ?」 携帯の音は、俺の言葉を待っていたかのように鳴り止む。 言うまでもなく箱にはまたダイヤル式の鍵がついており、今度は箱の裏に紙が張ってあった。 「何々? 私の誕生日はいつでしょうか? 知るかよそんなもん!     
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加