第一話

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 土曜日の朝の電車の中も、人が移動する隙間もあまりなく、やっとこさ通れるくらいだ。このところ電車に乗る回数は、高校生の頃に比べて減り、免許は所持しているものの、肝心の私用車がない為、二十歳になった今でも移動手段は電車だ。生憎俺の連れもほとんどそのような感じなので、都会に近いので車よりも電車が好きだ。電車はコトコト揺られて、慣れているので景色等も楽しめるし随分と遠くに行くように、気長に乗る感じはあまり好ましくなく、少々短気な為精々30分以内が理想だ、せかせかせず、丁度いい。走行している時に外を見ながらも考えることは元カノのこと。元カノと一緒に居たいし、両想いになりたい、元カノとの将来のことや目標を語りたい。色々なことを思い浮かべては、消えていくまるで、鷲を追うお腹を空かせて切羽詰まった一匹の猫のように。  人混みをかき分け改札を出て、大きい広場を速歩きで抜け交差点に差し掛かり信号待ちをしていた。青になり、渡ろうとしたら、横からオートバイが突っ込んできた。目の前が真っ白になった。 『あーー!!!!!!!…』     
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