夕暮れバレンタイン

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 などとぼやきながらも、菓子店に群がる女子学生の後ろ姿には、肉屋以上に心惹かれるものを感じずにはいられない。 「関係あるかどうかを決めるのは俺達じゃない、あの子らだ」 「試合に出場するかどうかを自分で決めることもできないのか。なんて理不尽なシステムなんだ」 「バスケの試合だって、決めるのは監督だろ」 「よしわかった。じゃあ吾郎、お前明日監督にチョコ下さいって言え」 「おっさんに貰ってどうすんだ!」 「ないよりはマシだろ。だったら俺が頼んでみよう」 「お前、そこまで追い詰められて……。つーか、お前にはひばりちゃんがいるじゃねえか」 「そんな人はいません」 「いるだろ。いーなー、ああ羨ましい恨めしいメシ奢れ」 「だから違うって。俺とあいつはそんなんじゃないから」  高根沢(たかねざわ)ひばり、14歳。翼とは、幼稚園時代からの友人だ。  家も近く、しかもどういうわけか小一の時からずっと同じクラスで、中学に上がり2年生になってさえ一緒と知った時には「またかよ」とお互い言い合った程だ。  だからといって嫌い合っているかというと、そんなことは全くない。むしろ気の合う仲間、というより良き相棒とさえ言えるくらいの間柄だった。     
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