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「好きな人ができちゃった」
突然そう告げられた時、翼は胸の奥にざわつくものが生じるのを確かに感じていた。だが翼はその理解できない衝動に戸惑い、「まだ片想いだけどさ」と惚気るひばりの話を押し黙ったまま聞くだけ聞くと、「へえ」と言っただけで後ろを向いてしまった。
もしもその時、自分の背中に向けられたひばりの目に悲しみの色が浮かんでいたことを知ったら、きっと翼は「理不尽だ!」と怒っていたことだろう。
だがそれも仕方のないこと。どうしてそんな気持ちになってしまったのか、ひばり自身も分からなかったのだから。
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