【プロローグ】

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『雷』は人間の身に直撃してしまえば、まずその命はないものと考えて良い。  よほどの奇跡、強運の持ち主でなければ、その高電圧によって即死してしまうからだ。  仮に即死をしなくとも、その高電圧で身体の皮膚は火傷を負ってしまい、即座に救急車で病院で入院コースは免れないはず。  なのに、レオの身体はただ身体の一部がちょっとだけ黒く変わった、まさに漫画の表現のような軽傷で。  更に言えば、身体を痙攣させて椅子から落ちて床に倒れているだけの、もはや奇跡としか言いようがないその結果。  何故雷を受けてもそれだけの軽傷で済んでいるのかと言えば、 「はぁ……はぁ……全く、余計な“魔力”を使わせないでよ……」  その雷は自然に発生した現象ではなく。  先ほどから必死にレオに向かって話しかけていたのに、それを幾度も無視されて激怒した。  ……謎の女性が起こした現象であるからだ。
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