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私の能力は凍らせることだ。
触れたものを凍りつかせる。冷気を出す。そういったものだ。
幼い頃はこの能力に悩まされましたが十数年も付き合ってると使い方がわかってくる。
力加減もできるし日常生活や友人関係に支障はない。
いざとなったら使える便利なものだ。
「ミラって雪女みたいだよね!」
「えっ、それなら雪の女王じゃない?」
友人の言葉に笑う。
どちらも悪役みたいなものじゃないか。
「やだなぁ。それって私が怖いってこと?」
違うよ、と彼女たちが笑った。
「雪女って綺麗な人なんでしょ?」
「雪の女王だって美人じゃん!」
「儚い雪と美しい少女!」
「完璧! 絵になるよ、最高!」
私をよそに盛り上がる彼女たちに苦笑する。
「ミラってさ、あんまり自覚ないよね」
「そうそう、こんな美人なのにね」
「モデルとか、女優とか!」
「アイドルとか、歌手とか!」
「すぐ有名になれるよね!」
「サインもらっておこうよ!」
収集がつかない。どうしようか。
容姿への賞賛の言葉は聞きなれた。
鏡の中の私の顔は確かに整っている。
銀色の髪。赤い瞳。
大きな瞳と鼻筋の通った鼻、小さな唇、白い肌。
別に外見が優れていたからといってどうということもない。
強いて言うなら母さん。
母さん、あなたはどんな顔だったの?
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