クリーニング店

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クリーニング店

私が前にバイトをしていたクリーニング屋の話です。 当時高校生だった私は、お小遣いが欲しくて短時間でも働けるバイトを探していました。 見つけたのは、商店街の中にあるクリーニング屋さんのレジ担当でした。 面接に行くと、店長は六十代ぐらいの小田さんという気立てがよさそうな男性で、 従業員は他に40代の新井さんという恰幅のいい男性だけの、小さなクリーニング店でした。 私はすぐに採用され、そこで働くことになりました。 といっても、私の仕事はお客さんから洋服の預かりと受け渡し、それにレジ打ちぐらい。 他の事は小田さんと新井さんがやってくれるし、預かった洋服は回収車がやってきて工場に運ばれ、そこでクリーニングされて戻ってくる。 とても楽な仕事でした。 昔は、店の作業場に3台ほどの洗濯機と乾燥機が置かれ、工場ではなく自分たちだけでクリーニングをしていたそうです。 ですが、時代の流れで利用者の減少、人件費の削減で工場に委託することになったというのです。 その名残なのか、作業場の隅には一台の古い洗濯機がそのまま置かれていました。
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