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 今朝からずっと――いや、正確には午前中からよっくんの様子がおかしい。  長年幼馴染をやっていると、相手の変化というものがよくわかるようになる。今日のよっくんは、ずっと考え事をしているようだった。現在放課後の科学部室に例の如く集まり各々好き勝手に過ごしているのだが、文庫本を読んでいるよっくんの表情は先程から目まぐるしく変化している。  普段から読んでいる本の展開が顔に出るタイプなので、紙面越しに喜怒哀楽を露わにしており不気味なのだが、今日はそれが輪をかけて酷い。というか、明らかに本の内容を読んでいる様子がないし、時折見せるウチへの横目のアピールが気持ち悪い。  仕方なく動かしていた手を止め、息を吐きながら訊いた。 「どうしたらそんなに気持ち悪くなれるんすか?」 「核弾頭みたいな悪口に精神が爆死しかけたぞ。だがな、今日の俺にそんなものは効かん」 「はぁ……。なんかあったんすか?」 「わかる? わかっちゃう? だよなぁ。俺たち幼馴染だから、そういうのすぐにわかっちゃうよな!」     
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