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 よくわかる。こういう調子に乗っている時のよっくんは、とても面倒くさい。その上大体最後には痛い目を見て落ち込むのだ。これはもう予定調和と言ってもいい。ただ、構ってあげないといじけるのでウチは嫌々相手にすることにした。 「で?」 「辛辣! もっと興味を持って! いやなに、実はなこの俺こと近間寄(ちかまより)、齢十七にしてとうとうラブレターを貰ったのである!」  よっくんが声高らかに宣言したその言葉に、ウチは思わず発明途中の部品を落としてしまった。  動揺しないわけがない。確かによっくんは幼馴染の贔屓目で見ても、顔は悪くない。  特別整っているというわけではないが、崩れているわけでもない。優しいところもあるし面倒見もいいので、よっくんのことをよく知っていけば惚れる女の子がいてもおかしくはないと思う。  でも、その中身を知る機会というのが現在ほぼ皆無となっている。  理由はもれなくウチであるのだが、科学部という九割幽霊部員の部活に毎日入り浸っており、あまりの才能に変人と称され一線を引かれているウチと当たり前のように一緒にいる。そのせいで特に女子からは距離を取られており、終いには先日のボクシングの高校生チャンプであった先輩をのしたことで本格的にやばい奴というのが、遠巻きに聞こえてくるくらいの噂となっている。     
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