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そんなよっくんが、ラブレターをもらったと? 携帯電話というデバイスが発達してLINEやSNSでの告白が当たり前の時代に紙の手紙だと?
「不幸の手紙の間違いでは?」
「わかる。わかるよ、彩江。俺もさ、そう思ったさ。話す女子なんかお前くらいしかいない俺だ。モテた試しもないし、ラブレターなんて都市伝説だと思っていた。だけどな、このラブレターを見てもそんなことを言えるかい?」
制服のポケットから一枚の封筒を取り出して、ウチに渡してくる。それは淡い桜色の可愛らしい封筒で、中には同じようなデザインの便せんが入っていた。中身に目を通すと、割愛をさせて頂くが読むこちらが恥ずかしくなるくらいに真っ直ぐな好意が綴られていた。
これをラブレターと言わずして、なんといおうか。しかも手紙の最後には明日の放課後人目の少ない体育館裏へと来てほしいという文言まで添えられている。
何をどう解釈しても、告白されることは明白であった。
ウチは、綺麗に便せんを封筒へと戻し、近くにあったアルコールランプへと火を灯す。そして、その封筒をそっとその火に――
「待て待て待て! なにしとん!?」
「いえ、これだけ素敵な想いが込められているのでよく燃えるのではないかと思いまして」
「馬鹿野郎。これはすでに恋の炎で燃え上がっているだろうが」
「おえぇ……」
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