[1] おわりのはじまり

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そんな俺に電話がかかってきたのは、それから数日後のことだった。 あれから和緋とは会っていない。 連絡も無ければ、自宅や会社に迎えに来ることもない。 そこで気づかされるのだ。 俺は和緋に甘えていたのだ、と。 連絡は常に向こうから。 会いに来るのだって和緋からだ。 だから、俺から連絡するということ自体に抵抗がある。 簡単に言うと。 何と連絡すればいいのか、わからないのだ。 そんな折での電話だったため、ワンコールで出てしまった。 誰からの着信かも見ずに。 それに気づいたのは、着信マークをタッチしてからだった。 「はい」 平静を装い、当たり障りない受け取り方をする。 電話口から聞こえた声は、期待した人物のもの、ではなかった。 むしろ、なんだか嫌な予感が…… 「今、アメリカにいる。会社にいるか?」 え…………………………… …………はァァァァァ!? 突然のことに驚きすぎて、叫びは声にもならない。 とりあえず、今日の予定を確認し、夕方の会食までは会社にいることを伝えたところで、電話は切れたのだが。 なぜいきなり来ようと思ったんだ? 何か話したいことでも………? 不安になってくる。 俺と和緋の関係がまた……? 別れろ、とでも言われるのだろうか。 もしそう言われたら……… 誰もいない社長室でウロウロと歩き回り、この後起こるのだろう出来事を想像した。
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