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本棚に追加肩を押さえる手を、拒絶と捉えられない程度の力で外せば、彼は簡単にその手を離した。
名残惜しくもあるが、今は父の帰りを待っているだろう息子に会うのが先。
「パパだぁーーー」
ガチャっという音に反応した我が子が、遊んでいたオモチャを放置して駆けてくる。
両腕でキャッチした息子を抱き上げ、ギュッと抱きしめれば、彼も柔らかい手を力一杯首にまわし感情を表現した。
まだまだ感情の持続力のない息子は、泣きじゃくった朝のことなどすっかり忘れて、今の素直な感情をぶつけてくる。
「ねぇねはぁ?」
「ねぇねは、疲れて寝ちゃったから、先にご飯食べよっか」
抱っこしたままダイニングへ移動し、子供用の椅子に下ろす。
そこには既に夕飯の準備が出来ていて、ホカホカのご飯が我々を出迎えていた。
「柳瀬様もどうぞ」
俺が琢磨の隣に座れば、ドアまで来ていた和緋に家政婦が声をかけ、同席を促す。
俺の前には1人分の夕食。
置かれた箸はキャラクターものの可愛い小さな子供用ではなく、黒い漆の長く綺麗な大人用。
輝菜の分はとっといてくれているのだろう。
流石に好意を無駄にするようなことはしない和緋は、渋々といった形で俺の前に座った。
楽しいはずの夕飯の席なのに、喋るのは琢磨だけ。
フとした拍子に視線を上げれば、同じようにこちらを見上げた彼と視線が絡む。
その視線も、どちらともなく外れ、再び食事へと手をつける。
異様な空気が流れている。
とてもじゃないが、ずっとはいたくない空気。
何とかしたい。
何とかしなければならない。
でも……。
もはや、どうしたらいいのか、自分にもわからなかった。
そんな空気を裂いたのは、寝室から聞こえてきた割れんばかりの泣き声だった。

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