第‐1章 過去

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 少しの冗談。初めてのラブレターがこれだったら、流石に少し悲しいなぁと思いつつ。無機質な、コンビニで売っているような事務用の封筒。宛名も何もない。糊付けもされていない。  「違う。でも、お前宛。家で見て」  不愛想なしゃべり方。昔から変わらない。でも、こんな雰囲気で何かをもらったこともない気がするな。家で見てってのも気にはなる。  「ふーん。わかった」  気にはなるけど、帰るほうが先だ。軽い封筒を受け取り、適当にクリアファイルに挟み込む。確かに受け取ったぞ、田村洋一よ。  「確かに渡した。それじゃ」  無表情のままで不愛想に言葉少なく去っていく。教室を出る前にいつもつるんでいる友達につかまり、ワイワイとした空気に巻き込まれて去っていった。  しかし、この封筒は何だろう。まぁ、家で見てって言われたし、学校も終わったし。  とりあえず、帰ろうか。     
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