プロローグ・赤い人魚のゆらぐ水槽で、あの夜僕は×××

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ーーー ーーーーー ーーーーーーーー 息ができない。   首を締めあげる指を振りほどこうと、僕はもがいた。 ほの暗い水の中では、やつの顔がはっきりと見えない。 このまま死んでしまうのだろうか。 守ると誓った彼女を守れないまま、冷たい水に沈められるのだろうか。   酸素の回らない頭で視線を水面に向けると、真っ赤な尾ひれが頭上で動いた。 僕は血に濡れたこの水槽から、彼女を救い出したかっただけだ。 赤い尾ひれを揺らし水中を漂う彼女を、人間にしてあげたかった。 それだけなのに、どうして僕が殺されなくてはならないのだ。 ただ、誰にも迷惑をかけたくなかった。 誰かを守りたかった。 相反する思いを抱えて彼女と出会った時から、僕の運命は狂い始めていた。
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