序章 訪れるもの

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ひーひー ふーふー はーはー 言いながら やっと 坂を登りきった 男は 汗だらけの顔を 鞄から出した 大きなタオルで 拭き取っては なんと 制汗スプレーを シューシュー やっては 身だしなみを整えるのを見て  誠所長も 「意外ときちんとしてるじゃないか こっちも」と パジャマ代わりのスエットに 布商品の消臭スプレーかけてるのを見た 白鷺さんが 吹き出してます 「所長 だから スエットで 一日過ごすのやめればいいんですよ 全くもぉ」と 注意していると 相談所の扉チャイムを ピンポーン 一回で すぐに 顔を出した 白鷺さんの美しき素っぴん顔を見た 相談者らしき男 目を点にして 「ああ すいません 間違えてしまいました ああすいません!」と 扉を閉じようとするのを制して 「いいえ おそらく あってると思いますよ 相談所においでですよね」と ゆっくり説明する 彼女の言葉を飲み込むように 頭で繰り返し 「ああ よかったぁ また 坂を降りて探さなきゃって思っちゃいましたぁ」 そこへ 誠所長 威厳をただして(笑)「白鷺君 さあ その方を案内して そこ開けっぱなしじゃ 寒いだろう」と言うも 男の汗が再び吹き出した顔を見て 「ああ いや あなたは暑いかぁ」と小声で。。。。 相談所と言うよりも 昔の洋館っぽい造りの一軒家 しかも 蔦が絡まってる感じ 相談所の木の看板がなければ ただの民家にしか見えませんが 中へ入れば 事務所らしい造りで すぐに応接室が あり そこへ通された 男 キョロキョロ 目が泳いでいるが 意を決した様子で  「こちらに 聞いていただきたい話がありまして お伺いしました わたくし 因堂 法仁(いんどう のりひと)と申します よろしくお願いします」と 頭を下げつつ 手土産を取り出しては 白鷺さんに「これうちの地元の美味しい手土産です 竹姫最中 どうぞ」と 手渡すのを 甘いのに目のない 誠所長 ぶんどるように 手にとっては 「おお これは あの噂のぉと言うことは あなた 因堂さんは 九恩寺(くおんじ)市出身なんですねえ。」
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