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何も考えられない。
頭は真っ白。
思考が操られるように足を踏み出す。
と。
「あぶない」
腕を掴まれた。
うしろを振り向く。
スイセンが立っていた。
「白」
「…なぁに?」
スイセンは少し躊躇って、口を開く。
「…桃さんから手紙来てた」
桃からの手紙のことなんて言われなくても分かっている。
そういうように、出来ている。
ほんとはどうしてよく黒の国を見ているのか、彼が気になっていることも分かってる。
でも知らないふりをして答えた。
「会議かな」
「さぁ?俺にはそこらへんのことはよく分からないけど」
「それともただのお茶会かな」
彼はどっちでもいいよ、と笑った。
「それより帰ろう」
「うん」
手を引かれて境界線をあとにした。
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