【怖い商店街の話】 肉屋

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夜が更けて両親も妹も寝静まったのを確認して、俺はまたこっそりと家を出た。 今夜は曇っていて、月も星も見えない。 自転車を走らせて商店街に向かうと、アーケードの中はシャッターが並び、今夜はやけに暗く感じた。 周りを見ても人の気配はなく、俺は昨日よりも少し緊張しながら自転車を下りてアーケードの中を歩き始めた。 自転車の音を響かせながら、肉屋の前にやって来た。 シャッターはすでに閉まっている。 そこには張り紙が貼られ、『本日は定休日』と書かれていた。 「今日は休みか」 店が休みとなれば、田辺も店にはいないはず。 俺は麻袋の大男が田辺の見間違えたのだと踏んでいたから、今夜現れる可能性はないと思った。 俺は自転車にまたがり、商店街の出口に向かってペダルをこぎ出した。 昨夜すれ違った女性も、今夜はいないようだ。 早く帰って、お風呂に入って寝よう。 パンッという破裂音とともに、自転車の後輪がわずかに沈んだ。 慌てて自転車を下りてタイヤの後輪を調べると、見事にタイヤがパンクしていた。 「マジかよ」 俺は舌打ちをして項垂れた。
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