0人が本棚に入れています
本棚に追加
「ガオー食べないよー」
女の子が言った。目の前にいて僕の体に覆い被さっていたのは女の子だった。しかも凄い美少女。
「き、君はだぁれ?」
僕は女の子に聞いた。
「私? 私はグリーンエメラルドドラゴン、グリーンエメラルドドラゴンのエメドラだよ」
「グリーンエメラルドドラゴン?」
グリーンエメラルドドラゴンのエメドラと名乗る少女は僕の上から立ち上がると、ちょっと離れてからクルッと一回転した。ライトグリーンの長いゆったりとした髪の毛が、彼女の動きに合わせてフワッと膨らんだ。着ているものは白いヒラヒラした布で、それを肩と腰で結んでいる。靴はレザーの紐を編み上げたサンダルだ。
エメドラちゃんはニコニコしながらうなずいて僕を見つめ返す。
「あなたはだぁれ? 何のズルンズ?」
「ズルンズ? いやぼくは、ぼく、ぼくの名前は・・・・・・ううう」
自分の名前を言おうしたら、頭がひどく痛んだ。
「どうしたの?」
「ぼく、ぼくは名前が思い出せない」僕は答えた。
「ええー、それって記憶喪失かなー」エメドラちゃんは僕の体をあっちこっち眺めながら言った。
「記憶喪失。そうか、これが記憶喪失か。だから何も思い出せないのか」
最初のコメントを投稿しよう!