7534人が本棚に入れています
本棚に追加
/156ページ
「営業さんかな…。向こうも気づいていて、本社の子達だって分かっているみたい。できれば、ご挨拶されたいそうなんだけど。」
営業も、代理店も、お客様のようなものである。
この人たちが稼いでくる数字で成り立っているのが、保険会社だ。
「よかったら、お伺いしますけど。」
「いや、ご挨拶だけ、と言っていて。大丈夫?」
「はい。」
しおらしく返事をしながら、変なこと言ってないよね?の雰囲気になる。
「こんにちは。ごめんね、楽しんでいるのに…。」
と笑顔で入ってきたのは、結衣も電話は何度か受けたことのある北条という営業担当者だった。
査定としては交渉が難しい件も間に入ってくれて助けてもらったことがある。
不備書類も手早く用意してくれるし、素早い支払いにいつも協力してくれる人だ。
査定は支払ってなんぼなので、実は払えない案件より、払える案件のが担当者は好きなのだ。
その点、支払いに協力的な営業や代理店さんは好かれる。
特に、今、顔を出してくれた北条は分からないことは査定になんでも確認してから、対応してくれるので、みんなからは好印象の、人物だった。
「高槻さん、異動されたんですって?」
結衣も何度となく電話を受けているため、結衣の名前は覚えてくれていて、電話に出ても、最初の数分は世間話をすることもある相手だ。
営業らしく、笑顔で気軽にそんなことを行ってくる。
「結衣ちゃんは社員になったので、栄転です!」
「おめでとうございます!査定に電話しても、高槻さんの声が聞けないのは寂しいですよ。」
「またまたー!」
最初のコメントを投稿しよう!