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「本当ですって。うちの支店でも、みんなそう言ってますから。どこにいるんですか?」
「コルセンでーす。」
「直接は接点なくなるのかなぁ…。」
「でも、結衣ちゃん、あちこちに電話かけまくっているよね。」
「はい。また、助けてーってお電話するかもです。知らない、とか言わないでくださいね。」
「コルセン?コールセンター?コールセンターの高槻さんって、その高槻さん?」
結衣の配属先を知って、急に顔色が変わる北条だ。
ん…?
「あ、ちょっと、待ってて。てか、高槻さん、ちょっと。」
北条に手を引っ張られる。
「今、うちの支店の重要客先と飯なんだけど、高槻さんがその高槻さんって僕知らなくて。
まあ、分かれば納得だけど。
その人、この前、高槻さんに対応してもらってすごく感謝されているそうなんだ。よかったら、少し顔出してくれると非常に助かるんだけど。」
本来なら、査定も、コールセンターも裏方だ。
お客様との信頼関係や営業の最前線はあくまで、営業さんや代理店で、自分が顔を出すようなものではない、と結衣は思うのだが。
北条をふと、見ると『お願い!』と顔に大きく書いてある。
「支店の重要先なんですよね。私でいいんですか?」
「つか、高槻さんの大ファン。」
「そんなことしてないと思うけど。顔くらいなんてことないですけど、いいんですかねー、顔出しなんかしちゃって。」
「大丈夫。僕も今まで、高槻さんの声しか知らなかったけど、今日お会いしてますます大好きになりました。お願い!」
そんな、適当な…。
ほんっと、営業さんは口がうまいよ…。
分かりました。いいですよ。
と結衣は苦笑する。
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