3.それは通常対応です

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「はい。車を探してくれたのは、代理店さんなんです。」 「そうなんだ。さっき、北条さんも助けてもらっていた、と言っていたけど。」 「いえ、助けてもらっていたのは私達の方なんです。私の仕事はいつも周りの方に助けていただいて成り立つようなものなので。 今も最前線でコールとってくださるスタッフさんや、わからない時教えてくれる、査定の方や、営業さんに助けられています。」 「そう、なんですね。僕はあなたに助けられた。その後、大丈夫ですか?と気遣いしてくださったあなたに。」 それは、通常対応なので、そんな風に言われると、胸が痛みます…。 「高槻さん。今日はこの後、どうされるご予定なんですか?」 「いえ、みんなでご飯しているところで。」 「それが終わってから。」 「帰ると思いますけど。」 「ご自宅は近いんですか?コールセンターは他府県と聞いてますけど。」 「はい。なので、ホテルに。」 「では、皆さんとの飲食が終わった後1杯だけ、いかがです?」 声も含めて、この雰囲気、そんなん行っちゃいけない気がする。 「ね?」 首を傾げてふわっと微笑まれる。 すっと伸びてきた指に頬を撫でられて。 まるで、催眠術にかかったかのように、結衣は頷いてしまった。 「では、終わったら、僕の携帯に連絡してください。あ、ここに番号入れておいて?そうしたら、高槻さんからの着信だと分かるから。」      携帯を渡されたので、てててっと、自分の番号を入れてしまった。 蓮根がそのまま、発信を押す。 今は、結衣の携帯がなっているはずだ。 「その番号が僕のですよ。」 妖艶な雰囲気や、逆らいがたい声に半分ぼうっとしてしまう。 こんな、初対面の人に連絡先を教えるようなこと、普段ならしないけれど、どうしてだろう、蓮根の雰囲気には逆らいがたい何かがあるのだ。
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