4.マウント、噛み噛み

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「なにか…って。」 「この際、約款(やっかん)を読み上げるのでも構わないから。」 この際…?!約款? 結衣は自分が、第一条、一項…とか読み上げているところを想像して、ないわ!と否定する。 「あの時、あなたの声を聞いて、本当に安心したんです。大丈夫ですか?とあんな風に聞いてくださる方はどんな方なんだろうか、と思っていました。」 う…ん、しつこいようだけど、それは通常対応なんですけどね。 それと、約款を読み上げろ、とかは…。 なんか、言ってること、おかしくないですか?! 「あなたの透明感があって、羽根がふわりと着地するような柔らかい声。僕の苦手な軋みが全くなくて、優しいあなたの人柄を表すような…。」 あ…れ…? 「蓮根さん、声が聞きたいんですか?」 「はい。もっと、話してください。」 話しづらいわ! 「あなたの声を聞いて、ステキな声だと思っていました。だから、普段、代理店研修など出ないんですけど、この度来てみたら、まさか、偶然あなたにお会い出来るなんて。」 「そういえば、他の階でやってましたね。代理店研修。」 比較的たくさん開催されるので、意識していなかったけれども。 「営業の北条さんが待ち構えていて、面倒だと思いましたけど、その先の店にあなたがいたから。運命かと思いました。」 気のせいだろうか…甘い、と思っていた表情が少し怖い…。 危ない人なんだろうか。 「蓮根先生…」     
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