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3.それは通常対応です
「久しぶりー!」
査定の仲間が予約してくれたのは、会社の近くの割烹。
刺し盛りが新鮮で、結衣が好きな店だ。
お店のご主人も結衣の顔を見て、久しぶりだね、と喜んでくれる。
馴染みでもあるので、奥のこじんまりした個室を用意してくれている。
結衣が刺身が好き、ということも知っているので予約があった時点で覚えていてくれて、お刺身も今日はいいのがあるからね、と言ってくれた。
みんなで席に着き、乾杯すると、
「で、どうー?」
と仕事の話になる。
「環境の変化が…。」
元の仲間達には、本音を言える結衣だ。
「あ、でも、最前線で結衣ちゃんが電話受けてくれてる、と思うと、あたしたちも安心なんだよねえ。」
「そう言ってもらえるとー…泣けるよー。うちのセンターの子たちも頑張っているからさあ、何かあったら何でも言ってねー。」
「シフトなんだっけ?」
「そーなの、曜日とか時間の感覚がおかしくなりそうだよ。」
そういえば、なんとかさんは異動になったよーとか、今は査定はこんな方針だ、とか、センターではこんな取り組みをしている、とか情報交換も交えて話をしていたところ、お店のご主人が入ってくる。
「ごめん…、同業の人が来ているよ。」
途端に声が小さくなる結衣達だ。
「え?誰ですか?」
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