2.5cmの扇情

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B「確かに先日全国民に対して周知された『カップ数』についての記事に触発されたが」 A「女王様がAAAなの気にして禁忌になっただけで女子には公然の秘密だったけどね」 B「そうだったのか」 A「そうだったのよ」 B「しかしなぜ今このタイミングで解禁されたんだ?」 A「女王様が妊娠して、カップ数が底上げされたから」 B「国の運営方針がそれでいいのか……君の職場だろ?」 A「いいんじゃないの。おめでたい事よ。皆喜んでるよ」 B「まあ、それはいいとしてだ。やはりおかしいんだ」 A「あのね、さっきから何をそんなに訝しんでるの?」 B「『おっぱいのすべて』は、断じてベッドの下に隠したりしてないんだ」 A「でも私がベッドの下で見たのは『おっぱいのすべて』に間違いないよ」 B「おかしいな。マットと木枠の間にしっかり挟み込んでおいたんだが」 A「それだと確かに、マットが激しく揺れてずれたりしない限りは――」 B「あっ」 A「あっ」 B「……何を思いついた?」 A「……たぶん、君と同じ」 B「………」 A「………」 B「――なあ、今日の夜、ちゃんと検証してみないか?」 A「そ、そうだね、しっかり確認してみないとね、うん」 B「Aかどうかもな」 A「Bですってば!」  この国の冬はとてもとても寒いから。  二人の夜にはぬくもりが必要だ。  明日はどう誘おう。明日はどう受けよう。  運動後の心地よい眠気にぼんやりとする頭で、お互いの事を考え合う喜びに身を浸す。  ひるなかのじゃれ合いは既に毎日の慣習だ。  どのみちゴールは決まっているが、いかに自然に流れを作るかの勝負。  けれど、何年経ってもなかなかスマートには進んでくれないものだ。  とりあえず、今日はわずか2.5cmの厚みに感謝しておこう。  ついでに、まんまとベッドの下に落ちていた『おっぱいのすべて』にも。 B「Bだった」 A「でしょ?」
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