【怖い商店街の話】 古本屋の二階

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【怖い商店街の話】 古本屋の二階

夕暮れの帰り道、私は近所の商店街を歩いていた。 近頃、廃業した店が増えて、商店街の両脇にシャッターが目立つようになった。 それでも、長く続く飲食店はまだ存在し、美味しそうな匂いが漂ってくる。 総菜屋さんの前には、いつもお客さんが並んでいる。 店先に置いてある蒸し器からはモクモクと白い湯気が上り、私も匂いに釣られて、総菜屋さんに顔を向けたまま歩いていた。 ドンッ よそ見をしていたせいで、私は誰かとぶつかってしまった。 「ごめんなさい」 とっさに謝ると、目の前には六歳ぐらいの小さな男の子が、私を見上げて立っていた。 男の子は短パン半袖の恰好で、ボロボロの靴を履いていた。 もう秋も終わりに差し掛かっているのに、とても寒そうなその格好に驚いた。 「どうしたの。ママとはぐれた?」 男の子は首を横に振った。 「そんな恰好をして、風邪をひくよ。お家に帰りな」 私は男の子にそう言った。
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