出会いはいつも王道的

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 単位賢者の石と呼ばれる小さな賢者の石は、この世界に百億個はあると言われるありふれた物質で、その魔法効力も半径1メートルほどの魔法陣を展開できる程度だった。  しかし賢者の石には不思議な性質があった。  単位賢者の石を集めて生成される巨大な賢者の石の魔法効力は、その半径が元となった単位賢者の石の個数に比例するのである。  例えば千個の単位賢者の石から生成された巨大な賢者の石は、半径1キロメートルもの魔法陣を展開できた。  一方で巨大賢者の石の生成は困難を極めた。  巨大賢者の石は単位賢者の石を融合して作る。  しかし賢者の石には、そのサイズが大きくなるほど融合が困難になる性質があった。  賢者の石はそれを手にした者の意思に強く反応する。  故に複数の者が集まり、それぞれ単位賢者の石を手に意思を統一すれば、バラバラに分かれたそれぞれの石はまるで一つの存在であるかのように一つに重なり合う。  これが賢者の石の融合である。  意思の統一が強ければ強い程、融合の力も強くなる。  しかし人には自我というものがある。個性というものがある。  これらによって融合の力は制限されてしまう。  賢者の石は、サイズが大きくなるほど強い融合の力を必要とした。  領主達が望む巨大賢者の石を生成するには、自我や個性による制限のない、非常に強い融合の力が必要だった。     
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