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敬われる存在である自分達に横柄な態度を取る反面、力なき人々には友好的に振舞うギルド。
ドラゴン退治と引き換えに、自分達に無理難題を押し付けて来るギルド。
ギルドの存在は領主を頂点とする秩序体制にひびを入れる。
領主達はそう考えていた。
領主達は自分達の権力を、神から与えられたものだと信じていた。
いつの日かギルドが、それを簒奪しに来るだろうとも。
だから領主達は、手を組んで領主連合を作った。
ドラゴンを退治できる不思議な技術を持つギルドに、数の力で対抗しようとしたのである。
そのような領主達の態度は、ギルドの態度をますます硬化させ、一部には、ドラゴン退治などもはや止めるべきだと主張する者達まで現れた。
更にはギルドの持つ不思議な技術で領主達を権力の座から引きずり下ろすべきだと主張する者までも。
しかしギルドの主流派はそんな急進派達の意見を退け、渋々ながらも領主達の尻拭い、すなわちドラゴン退治を続けた。
それはギルドを恐れて結成された領主連合が、結果的に領主同士の戦争を終結させたからだ。
その結果、領主達の富国強兵策の重点は軍事力の強化から経済力の強化に移って行った。
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