出会いはいつも王道的

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 ギルドへの恐れから結成された領主連合が世界の平和と経済的豊かさをもたらしたという皮肉を、ギルドも認めざるを得なかったのである。  元々ギルドは、身分の上下を嫌う者達が理想を求めて作った組織だった。  戦火の絶えない領主同士の争いから逃れた人々が作った組織だった。  失われた(いにしえ)の技術を発見した時、その組織はギルドと称して歴史の表舞台に現れた。 「元々ギルドにドラゴン退治のやり方を教えたのは、私達魔女なのよね」  オドレンシュタイン将軍へティコ文書を売りに行く旅の途中、カリン・アラモードは苦々しい顔でそう語った。 「なのにギルドの連中ったら、その恩を忘れて、まるで世界で最初にドラゴン退治を始めたのは自分達だとでも言いたげに、大きな顔してのさばって」  ギルドが自分達に尻拭いをさせるばかりで、ひたすら富国強兵に走る領主達を苦々しく思っていたのと同様に、魔女達もまた、恩知らずのギルドを苦々しく思っていた。  ギルドがドラゴン退治を始める以前、この世界でドラゴンを退治出来たのは魔女だけだった。  とは言え、自分達を忌み嫌う連中を積極的に助けるほど魔女達はお人好しではなかった。  だから領主達もドラゴンを生み出す可能性が高い巨大賢者の石の生成は極力控えていた。     
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