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しかしながら富国強兵を目指す領主達にとって巨大賢者の石の生成は、起死回生の一手でもあった。
うかうかしていれば、先に富国強兵を果たした隣接する地の領主に、自分の領地が飲み込まれてしまう恐れがあったからだ。
富国強兵の達成が遅れた領主達はその遅れを取り戻す為に、しばしば巨大賢者の石の生成に手を染めたのである。
「大昔は何だかんだ言って、私達魔女と領主連中は持ちつ持たれつの関係だったそうよ。ギルドがドラゴン退治を始める前の大昔は」
領主と魔女を取り持ったのは、領主お抱えの占星術師達だった。と言っても、お抱え占星術師が直接魔女と交渉したわけではない。
その当時から占星術師は領主に仕えるお抱え占星術師と、仕える領主を持たぬフリーランスの占星術師に分かれていた。
フリーランスの占星術師達はお抱え占星術師を宮仕えと馬鹿にしていたが、実際には領主に雇って貰えなかったやっかみに過ぎない。
フリーランスの占星術師にとっては、どうやって食い繋いで行くかが何よりの課題だった。
食い詰めたフリーランスの占星術師は、しばしば魔女の厄介になった。
世間から忌み嫌われていた魔女達だったが、例外的にフリーランスの占星術師達とはしばしば交流を持っていた。
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