出会いはいつも王道的

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「まあ領主達も、極力私達の力は借りたくないと思ってたらしいから、今と違ってそんなに頻繁にドラゴン退治の依頼があったわけじゃないみたいだけど」 「いずれにしろ、古き良き時代だったんだろうな。君達魔女にとっても、俺達フリーランスの占星術師にとっても」 「それは微妙ね。いずれにしろ魔女は忌み嫌われていたわけだし。少なくとも民間伝承レベルでは」  民間伝承では忌み嫌われた存在だった魔女も、その利用価値から領主権力とはそれなりに良好な関係を保っていた。  その関係を一変させたのが、ギルドの誕生だった。 「だいたいギルドは正義を振りかざし過ぎなのよ。しかもほどほどって事を知らないし」  二十年前に始まったギルド戦争。  非人道的方法で巨大賢者の石の生成を図り、挙句失敗してドラゴンを生み出す領主達の無責任さに業を煮やしたギルドの正義が、その戦争を引き起こした。 「前にティコから聞いたんだが、ギルドにはその秘伝の技術を用いて世界を変えてはならないという掟があるらしい」 「そうらしいわね。でも二十年前、ギルドの一部の急進派達は、その技術を使って世界を変えようとしたわけじゃない。富国強兵を図る領主達を次々に襲って」  ギルド秘伝の技術を用いて一気に領主権力を崩壊させる。ギルドの一部の急進派達のこの行動が、後のギルド戦争の発端となった。
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